政令指定都市/地方公務員(土木職)の思慮

現在26歳。若手公僕が仕事・社会の雑感を綴る。

【読書メモ】『人は皆「自分だけは死なない」と思っている』防災心理学/防災システム研究所所長/山村武彦

災害時、皆でいるからこそ危険になってしまうことがある

緊急時、人間は1人でいるときは「何が起きたのか」とすぐに自分の判断で行動を起こす。しかし、複数の人間がいると「皆でいるから」という安心感で、緊急行動が遅れる傾向にある。(=集団同調性バイアス)@p.20

 

どうして良いか分からないとき、周囲の人と同じ行動を取ることで乗り越えてきた経験、つまり迷ったときは周囲の人の動きを探りながら同じ行動を取ることが安全と考える先入観に縛られてしまう。(=多数派同調バイアス)@p.30、31

 

1人のときは目いっぱいやるしかないが、複数での仕事の場合は自分だけの責任・評価ではなくなり、集団責任・集団評価になるため自己責任の度合いが希薄になる。(=集団的手抜き)@p.89 

 

集団の中でも自己の責任が明確なときほど、手抜きが少ない。@p.91

 

人間には「自分だけは大丈夫」と期待する本能がある

生死に関わることは、自分の五感で確認した情報に基づき、自分で意思決定することが重要なのである。@p.30 

 

非常時には「こんなことは起こるはずがない」と捉え、現実ではなくヴァーチャルではないかと考える「正常性バイアス」が働くことがある。@p.31

 

刺激的な映像を見慣れた者は、災害が発生したときでも、さほどのインパクトを受けず、目の前で起きている現実を認識・容認できない。そのため、心の非常スイッチが切り替わらない可能性がある。@p.43

  

小さな地震が続くとそれが日常の中に組み込まれてしまい、警戒心が薄れてしまう。それも「正常性バイアス」である。@p.47

 

人間は、現在の環境や状況が急激に変わると思いたくない。緩やかな変化は認められても急激な変化は自分に不利益になるかもしれないからである。自己が望まないことは洞察しようとせず、真剣に考えようとしない。@p.87

 

信じたくないものは信じないのが人間である。言われたことをイメージできないことは、信じないのである。@p.122

 

 心の警戒スイッチをオンにするためには

ナローキャストである地域の防災無線津波警報を受け取った人は心の非常スイッチをすぐにオンにでき、テレビ・ラジオなどのブロードキャストで受け取ったものは心の非常スイッチがオンにならなかった。@p.59

 

たとえば、アメリカでの災害時の放送は、「地震です。火を消してください。ガスの元栓を閉めてください。現場から離れてください」というように、簡潔かつ具体的に呼びかけを行う。@p.69

 

過去の災害だけを教訓にするのではなく、常に最悪を考えなくてはならない。@p.130